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小澤 竜也*; 藤原 理賀; 内原 猛*; 満田 節生*; 矢野 真一郎*; 玉造 博夢; 宗像 孝司*; 中尾 朗子*
Scientific Reports (Internet), 13, p.13750_1 - 13750_8, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)圧力は、電子状態と原子配列の両方に作用し、物性を劇的に変化させる可能性を持つ。リン化マンガンMnPでは、約8GPaの等方圧力下において、Mn化合物で初めて、超伝導状態が観測された。本研究では、一軸応力がMnPの磁性および結晶構造に及ぼす影響を調査した。磁化測定と中性子回折実験により、0.04GPaという極めて低い一軸応力で、不可逆的な磁化応答が観測され、同時に、MnP型構造に特有の擬回転対称性を満たす結晶ドメインが誘起されることがわかった。不可逆的な磁化応答は、誘起された新たなドメインの構造により説明できることが判明した。一軸応力によって誘起される結晶ドメインに関する研究は過去に例がなく、我々はこの新現象を「原子再構成(AR)」と名付けることとした。我々は、AR現象に対する理解の深化は、誘電性、弾性、電気伝導、磁性、超伝導を含む物質の異方性を制御する結晶ドメイン工学の創出につながると期待している。
高井 静霞; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
IEEE Transactions on Nuclear Science, 69(7), p.1789 - 1798, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Engineering, Electrical & Electronic)福島第一原子力発電所内に保管されている大量の汚染コンクリートがれきの量を減らすためには、サイト内で低い放射能のがれきを再利用することが有用である。事故によるがれきの汚染の詳細は明らかでなくホットスポットを含む可能性がある。そのため、安全性を確保しながら再利用を進めるためには、コンクリートがれきの平均放射能だけでなく放射能濃度分布を効率的に評価する必要がある。しかし、厚いまたは密な物質の不均質な汚染の評価は、クリアランスモニタ等の従来の測定システムでは困難であった。本研究では、容器内に収納されたコンクリートの放射能濃度分布の評価に対する、画像再構成アルゴリズムの適用可能性を実験的に確認した。放射線は容器(505040cm)の周囲に設置したプラスチックシンチレーションファイバーにより測定した。局所的なホットスポットは、汚染瓦礫の主要核種の一つである、Csの標準線源により模擬した。放射能濃度分布は容器内の100または50のボクセル(ボクセルのサイズ: (10cm)または101020cm)に対して評価した。ボクセル数が100の場合容器内部のホットスポットは検知できなかったが、ボクセル数が50の場合容器内部・表面の両者のホットスポットを再現できた。画像再構成アルゴリズムのうち、ML-EM法により評価された濃度分布が最も精度が良く、全7つの実験ケースに対し70%の精度で平均濃度を評価できた。
志風 義明; 西澤 幸康; 眞田 幸尚; 鳥居 建男; Jiang, J.*; 島添 健次*; 高橋 浩之*; 吉野 将生*; 伊藤 繁樹*; 遠藤 貴範*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(12), p.1907 - 1918, 2016/12
被引用回数:37 パーセンタイル:96.39(Nuclear Science & Technology)無人ヘリ搭載用に軽量・低消費電力のコンプトンカメラ方式のガンマカメラを開発した。検出器に関して、散乱体・吸収体の各層のGAGGシンチレータ・アレイの44から88への増加、及び、2層間の距離の拡張により、それぞれ、検出効率と角度分解能が改善した。改良したコンプトンカメラを用いた測定を福島県浪江町の請戸川河川敷で実施した。飛行経路と速度のプログラミングが可能な無人ヘリの機能を用いて、6560mの範囲を5mの測線間隔の13測線で、及び、65180mの範囲を10mの測線間隔の19測線で、高度10m・速度1m/sにて櫛形に往復させながら、それぞれ、20分間と30分間で測定した。測定データと校正用データの解析により、地上1m高さでの空間線量率分布マップが、高度10mから約10mの位置分解能に相当する角度分解能にて精度よく得られた。また、ホバリングフライトでは、ホットスポット上で高度5-20mで10-20分間程度測定を行った。再構成ソフトの使用後に検出効率の補正や線量換算を経て、ホットスポットを含む線の画像を得た。再構成線画像の角度分解能は測定位置をシフトさせた結果の比較より、室内実験での性能(約10度)と同程度であることを確認した。
高橋 正光; 米田 安宏; 山本 直昌*; 水木 純一郎
Physical Review B, 68(8), p.085321_1 - 085321_5, 2003/08
被引用回数:17 パーセンタイル:62.72(Materials Science, Multidisciplinary)従来、GaAs(001)-24構造は、電子線回折パターンによって、・・の3つの相に区別されてきた。しかし最近では、これらの構造は基本的には類似しており、やの相は、相の秩序が乱れたものであるという指摘もある。本論文では、その場表面X線回折法により見いだされた、・相に特徴的な構造の乱れについて報告する。・・に相当する表面について、逆格子空間のHK平面内における分数次反射のピークプロファイルを測定したところ、相と比べ、・相では、ピークが広がるとともに、ピークの位置が[110]方向に移動していることが見いだされた。モデル計算により、このピークの移動は、[110]方向の4倍周期を乱すドメイン境界によるものであることがわかった。この結果に基づき、ドメイン境界の構造について議論をおこなった。
陳 振茂
JNC TN9400 2000-021, 104 Pages, 2000/03
本報告書はJNCにおいて行われた2年間のポストドクター研究の成果を取りまとめたものである。本研究は磁性及び非磁性の構造物を対象に電磁非破壊検査法の向上または新規開発を目指して、渦電流探傷法を用いた自然き裂の形状再構成及び損傷誘起磁化現象の解明と非破壊検査への応用に関する研究を実施した。渦電流検査法の向上には自然き裂の形状を再構成するアプローチを提案し、理想化したき裂モデルに対して再構成を行うことによってその有効性を実証した。自然磁化に関する研究では損傷誘起磁化と損傷の相関の解明及び弱磁性体のSUS304構造物の非破壊検査への適用妥当性を試験手法で評価した。また、測定した磁束漏洩信号から材料内部の磁化分布(損傷の状態と相関する)を再構成するために、最適化手法及びウェーブレットを用いた手法を提案し、実際に測定したデータの逆解析を行った。解析した結果はコロイド法によって計測した磁化に分布と定性的によく一致し、提案手法の有効性を確認した。
陳 振茂; 青砥 紀身; 加藤 章一
JNC TN9400 99-061, 32 Pages, 1999/07
本報告書では、自然磁束漏洩からき裂・損傷を非破壊的に検査する研究の一環として、測定した磁束信号より材料における磁荷分布(損傷による)の再構成を行った。この代表的な非適切問題には最小自乗法に基づいた反復計算アルゴリズムを用いた。問題を適切化するために初期値、重み係数及び反復計算の回数の選び方を検討した。シミュレーション信号を用いた再構成結果より、本手法がノイズの少ない信号に対して有効であることを確認した。ノイズに対するロバースト性を向上するために、ウェーブレットをガラキン法に適用した手法をシステム方程式の離散化に導入した。最小自乗法と比較した結果、ウェーブレットを用いた手法はS/N比の低い信号に対しても有効であることが判った。本報告書では最小自乗法に基づいた手法を1次元及び2次元の磁荷分布、ウェーブレットを用いた手法を1次元の磁荷の再構成に適用し、提案した手法の妥当性を実証した。
陳 振茂
JNC TN9400 99-009, 39 Pages, 1998/12
本報告書では、渦電流探傷信号に基づいて接触のあるき裂の再構成手法を提案・検証した。まず、自然き裂を離散化するために2種類のき裂モデルを提案し、それに基づいてき裂によるECT信号及びその勾配を高速且つ高精度的に計算する手法を開発した。更に上記順問題の高速ソロバー及びモデル化した自然き裂に基づき、最適化手法の共役勾配法を改良し、異なる種類のき裂パラメ-タを同時に逆推定することに成功した。具体的に矩形き裂に対して再構成を行った結果、2種類のき裂モデル共に接触のあるき裂の再構成に有効であることを実証した。但し、接触がき裂の境界部に限った2番目のモデルはより効率よく再構成することができると判った。本研究の結果は、表面き裂の非破壊検査技術の向上に貢献することが期待できる。
岸本 牧; 坂佐井 馨; 荒 克之; 藤田 隆明; 鈴木 康夫*
IEEE Transactions on Plasma Science, 24(2), p.528 - 538, 1996/04
被引用回数:1 パーセンタイル:4.38(Physics, Fluids & Plasmas)トカマクにおける磁界計測は、内部インダクタンス等を求めるために必要なプラズマ電流分布に関する重要な情報を与える。ところが磁界計測のみからプラズマ電流分布再構成をするのは、解が一意に決まらない問題である。本研究では、磁界計測データからのトカマクプラズマ電流分布構成問題を、真空容器断面への電流最適配置化問題とみなし、この組み合せ最適化問題を解く手法として、遺伝的アルゴリズムを用いた手法とホップフィールド型ニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムの結合手法の2つの方法を用いた。そしてこれらの手法をトカマク型核融合装置JT-60Uのダイバータプラズマに適用し、従来プラズマ電流プロファイル再構成手法として一般的に用いられている平衡コードによって得られたものと非常に良い一致が得られた。
大塚 久雄; 田村 行人; 野村 正之; 田代 晋吾
JAERI-M 84-067, 74 Pages, 1984/04
高レベルガラス固化体内の放射能均一性を測定するため、核種に着目したエミッション-CT法によるスキャニング装置を開発した。本装置は、試料移動用スキャナ、線測定機器、データ収集及びデータ処理装置から構成されており、試料移動からデータ収集までの連続自動測定と重畳積分法による高速画像再構成処理を特徴としている。画像は、2mmの分解能で任意断面の放射能濃度分布を3次元及び等濃度線で表示できる。本報告書は、装置の概要と機能試験結果についてまとめたものである。
魚住 雄輝; 山崎 竜也*; 朝岡 秀人
no journal, ,
Si(111)表面ではダイマーやアドアトム形成により表面エネルギーが減少した再構成構造を形成し、バルクと異なる表面特有のストレスを有することがD.Vanderbiltらによる理論計算によって示されている。我々は、Si(111)77および水素終端処理を施したH-Si(111)11にGeをヘテロエピタキシャル成長させ、反射高速電子回折(RHEED)法と、表面ストレス測定(MOS)法を用いて再構成構造ストレスのその場観察を試みた。両者の再構成構造形成時のストレス差より、Si(111)77再構成構造形成時の表面ストレス値(1.6N/m)を実験的に観測することに成功し、その値は計算値とも良い一致を示した。
魚住 雄輝; 朝岡 秀人
no journal, ,
Si(111)表面ではダイマーやアドアトム形成により表面エネルギーが減少した再構成構造を形成し、バルクと異なる表面特有のストレスを有することがD.Vanderbiltによる理論計算によって示されている。前回の報告では、Si(111)77基板および水素終端処理を施したH-Si(111)11基板にMBE法によりGe(111)55再構成構造を形成し、両基板の表面ストレス値を比較することでSi(111)77再構成構造とH-Si(111)11構造の差が1.6N/mであることを実験値として得た。今回、室温および380Cに加熱したSi(111)77基板に原子状水素が吸着する過程をRHEEDと表面ストレス測定法によるその場観察を実施した。その結果、表面構造がSi(111)77からSi(111)11に変化し、Si表面の水素終端化を確認した。表面ストレス測定では原子状水素吸着と同時に表面ストレスが緩和する様子を捉え、原子状水素吸着時に発生する欠陥が最も抑制され、かつモノハイドライドで終端される5,000Langmuir条件で1.7N/mを示した。本結果は、理論計算値と良い一致を示しており、Si(111)77再構成構造形成時の表面ストレス値を実測することに成功した。
魚住 雄輝; 朝岡 秀人
no journal, ,
表面ストレスは、基板上への薄膜成長時における表面モフォロジー、結晶化度、結晶構造等の薄膜成長メカニズムを決定する重要なパラメータの1つであり、その理解を深めることは自己組織化によるナノ構造制御手法を確立するうえで重要なタスクである。本研究では、Si(111)77再構成表面の内在ストレス値を評価するため、基板ストレス測定装置を用いて以下の実験を行った。Si(111)77基板、および水素終端処理を施したH-Si(111)11基板を超高真空チャンバ内に投入し、MBE法によるGe蒸着過程のストレスその場観察を実施した。その結果、Geの膜厚に比例して増加する圧縮ストレスを捉え、両者の比較により77構造と11構造のストレス差:1.6N/mを実験的に観測することに成功した。次に、380Cに加熱したSi(111)77基板への原子状水素照射過程におけるストレスその場観察およびRHEEDによる構造解析を実施した結果、原子状水素の照射開始と同時に77構造から11構造へとストリークパターンが変化し、H-Si(111)11形成過程のその場観察に成功した。また、表面構造変化と同時にストレスは急激な緩和を示し、その後も緩やかに緩和が侵攻した結果、380C・5,000Langmuir条件で1.7N/mを示した。本実験結果で得たSi(111)77再構成構造に内在する表面ストレス値は1.6-1.7N/mであり、この値は理論計算値1.66N/mと良い一致を示していた。
鈴木 翔太; 朝岡 秀人; 魚住 雄輝; 近藤 啓悦; 山口 憲司
no journal, ,
Si(110)再構成構造形成に深く関与する表面ストレス(表面エネルギー)の実測には、数mmサイズ表面全体にわたり、清浄、かつ表面ステップ構造が制御された理想表面が必要である。本研究では、822mmSi(110)基板を用いた表面清浄化手法を確立するため、水素終端処理基板、酸化処理基板の保護層除去後の表面構造を比較した。表面LEED像を比較した結果、162再構成構造を示す回折点の鮮明度、及び、162構造形成範囲の広さから、大面積Si(110)表面清浄化手法として酸化膜除去による手法が有効であることが分かった。現在は2つの清浄化手法適用後のSi(110)表面のモルフォロジーについてSTMによる解析を実施中である。
鈴木 翔太; 矢野 雅大; 魚住 雄輝; 朝岡 秀人; 山口 憲司*
no journal, ,
Si(110)表面は、162ダブルドメイン構造と呼ばれる再構成構造を形成する。近年、外部電場による表面原子拡散(エレクトロマイグレーション)によりSi(110)162ダブルドメイン構造を単一方向に制御したSi(110)162シングルドメイン構造の作製が報告されたが、その詳細な形成機構は未解明である。本研究では通電加熱によるSi(110)162ダブルドメイン構造の作製と加熱による熱歪みの導入を実施し、LEED(低速電子線回折)による表面構造の観察から、Si(110)162シングルドメイン構造、およびダブルドメイン構造の形成条件と表面の歪みとの関係について調べた。その結果、Si(110)表面に一定量の熱歪みを導入することで、表面の最安定構造がダブルドメイン構造からシングルドメイン構造に変化することを見出した。
鈴木 翔太; 矢野 雅大; 魚住 雄輝; 朝岡 秀人; 山口 憲司*
no journal, ,
Si(110)表面162再構成構造の形成に深く関与する表面ストレス(表面エネルギー)の基板たわみ測定には、表面の広範囲で清浄、かつ表面ステップ構造が制御された理想表面が必要である。本研究では、Si(110)基板の表面化学処理により作製した水素終端層、及び酸化層の低温での通電加熱脱離により清浄表面を作製し、広範囲のSi(110) -162構造形成に最適な手法について検討した。LEED像の回折点の輝度を比較した結果、表面化学処理、及び脱離温度プロファイルの差より、酸化層脱離表面は水素終端層脱離表面よりも広範囲で162構造を形成していることが確認され、広範囲での162構造形成には酸化層の作製と加熱脱離のプロセスが最適であることが分かった。
山田 逸平; 和田 元*; 守屋 克洋; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
J-PARC RCSのような世界最大強度を誇る加速器の安定かつ安全な運転にはビームの非破壊診断が重要である。現在、シートガスとビームの相互作用を利用した非破壊型のビームプロファイルモニタの開発を行っている。これまでの研究にて実際にモニタを開発し、適切な解析手法を考案してその有効性を実証した。本研究では開発したモニタの応用として、1パルスでのプロファイル測定や極低ガス圧なシートの利用による非破壊度の高い測定の可能性を得た。このように開発したモニタは広い範囲でパラメータを制御することができるため、J-PARCのみならず様々な加速器への応用可能性を持つ。本学会はビームモニタに関する会議であり、これまでの研究で得られた知見を世界のモニタ開発の専門家と共有すると同時に、より高度なモニタへの発展を目指して議論するものである。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
J-PARCのような大強度加速器の安定な運転には、非破壊型モニタを用いたビームの常時監視が重要である。そこで、ガスシートとビームの相互作用を用いた非破壊型プロファイルモニタの開発を行っている。このモニタで得られる信号はビーム分布およびガス密度分布に依存する。そのため、ビーム分布を得るためには、ガス密度分布を実測してその情報をもとに適切な解析を行う必要がある。本研究では、この解析手法とガス密度分布測定手法を考案し、実際にJ-PARCビーム測定に適用してビーム分布を再構成することに成功した。開発したモニタは真空の技術を応用しており、本学会での発表を通した真空の専門家との議論により、開発したモニタのさらなる高度化を目指す。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
大強度陽子加速器のさらなる安定化や大強度化に向けて、シート状に形成したガスとビームの相互作用によって生じる光子を用いた非破壊型プロファイルモニタの開発を行っている。生成する光子の密度空間分布はビームプロファイルの情報を含むため、光子分布を写真撮影により画像として検出することで、ビームプロファイル測定が可能である。しかし、プロファイル情報はガスシートの密度分布や検出器の感度分布などの効果を受けて画像に変換されるため、得られる画像の輝度分布は直ちにプロファイルに一致するわけではない。そこでビームガス相互作用から画像構成までの過程を数式化することで画像とビームプロファイルを定量的に関係付け、プロファイル再構成手法を考案した。また、プロファイルから画像への変換を表す関数を測定する手法も併せて考案し、実測した。この実測結果と、3MeV・60mAの大強度水素負イオンビームのプロファイル測定結果を用いてプロファイル再構成を行い、実用化されている破壊型プロファイルモニタであるワイヤスキャナモニタで得られた結果と一致することを明らかにした。
志風 義明
no journal, ,
無人ヘリ搭載コンプトンカメラを開発してこれまで福島県の高線量率地域にて測定試験を行ってきた。自律航行型無人ヘリ特有の動き等を把握してホットスポットの検出精度を向上させるために、今回、姿勢角センサー,レーザー距離計,温度センサー,小型カメラ、及び、飛行時の位置と計数率を地図上でリアルタイムにモニタできるソフトウェアをコンプトンカメラシステムに追加装備した。それらによるホットスポット検出精度の向上を確認するため、福島県大熊町の野外にて測定を行った。事前の地上値測定で判明したホットスポットを含むエリアを櫛形に飛行する測線フライト、及び、ホットスポット付近の上空の定位置でガンマ線画像撮影を行うホバリングフライトを行った。データ解析では、測線フライトとホバリングフライトの両データから空間線量率分布が得られた。特にホバリングフライトでは、無人ヘリの姿勢角の制限を課したデータ選択による改善、及び、無人ヘリの安定性の良い時間帯のデータ選択による改善、を実施した。その結果、地上測定値との相関の改善やホットスポット位置の検出精度の改善を確認できた。
寺澤 知潮
no journal, ,
グラフェンは、C原子のハニカム格子からなる2次元物質であり、その極めて高いキャリア移動度と半整数量子ホール効果により、基礎物理から応用まで多くの注目を集めている。グラフェンは、基板の選択によってその性質が左右されるため、さまざまな基板上でのグラフェンの合成や性質が表面科学の研究対象となっている。Auは原子番号が大きく、スピン軌道相互作用が大きいため、グラフェンとAuの界面はスピントロニクス分野で期待されている。一方、この界面における原子配置は未知であることが多く、角度分解光電子分光(ARPES)実験と密度汎関数理論(DFT)計算が一致しないことが多い。ここでは、ARPESとDFT計算を用いて、Hex-Au(001)再構成表面上のグラフェンのバンド構造を報告する。AuへのCの溶解度は非常に低いため、グラフェンは化学気相成長法(CVD)によってAu表面に成長させることができる。グラフェンのCVD成長後も、六方金(001)再構成は維持された。そこで、よく知られた原子配置であるHex-Au(001)上のグラフェンについてARPES測定を行った。ARPES強度マップは、Au 6spバンドに近いグラフェンπバンドのバンドギャップを示している。DFT計算によるバンド構造から、グラフェンπバンドとAu 6spバンドの交点におけるバンドギャップが示された。このバンドギャップは、SiC基板上のグラフェンとAu界面の場合と同様に、グラフェンとAuの混成に由来すると考えられる。SiC基板上のグラフェンとAu界面では、100meVのラシュバ分裂が観測されたことから、グラフェンとAuの混成は、将来のスピントロニクスデバイスへのグラフェンの応用に不可欠であると考えられる。